呉釗燮外交部長(外務大臣)が15日、米国のニュースマックスTVによる取材に応じ、台湾に対する中国の脅威、権威主義の拡張、台湾と米国のパートナー関係、世界のサプライチェーンにとっての台湾の半導体産業の重要性などについて詳しく説明した。インタビューは同メディアのニュース番組でキャスターを務めるGreta Van Susteren氏によって行われた。インタビューの内容は台湾時間の16日、Susteren氏の新番組『The Record』で放送された。
呉外交部長は、中国は今年5月上旬に台湾の周辺海域で海上演習を実施、台湾の防空識別圏(ADIZ)への軍機の侵入も続けたほか、台湾海峡の中間線を越える行動も繰り返して緊張の度合いを高めたと指摘した。その上で呉外交部長は、中国がこのほど「台湾は中国の一部だ」として台湾海峡中間線の存在を否定し、「台湾海峡は国際水域ではない」などとしていることについて、「挑発的ででたらめな理屈であり、台湾海峡中間線は長年台湾海峡の平和と安定を確保して来た」と反論。続けて、「中国による最近の挑発行為は台湾海峡の安全保障と地域の平和ならびに安定への深刻な脅威になっている」と批判した。
呉外交部長は、ウクライナがロシアの侵略に対して「小さいながらも大きな敵に立ち向かう」精神を大いに発揮していることに台湾は深く啓発されたと指摘、台湾はこれからも非対称戦力の発展に取り組むほか、国民全体での防衛と予備役の動員能力をいっそう強化し、政府と人々が心を一つにして自分たちの国を守り抜く固い意志を示していくと述べた。呉外交部長は、中国が台湾に対して戦争を始めるかどうか、またいつ始めるかにかかわらず、台湾は常に自己防衛のための十分な準備を整えるとしている。
呉外交部長は、台湾と米国の関係は安定的に発展を続けているとし、米国が「台湾関係法」と台湾への「六つの保証」に基づいて防衛装備を提供し、台湾の防衛力向上に協力していることを説明。また、台湾は世界の最先端の半導体チップのうち9割以上を生産しており、台湾が攻撃された場合、世界のサプライチェーンが戦争によって途切れ、米国と主要な経済体は深刻な影響を被るとの見方を示した。呉外交部長は、台湾には断固とした自己防衛の決意と能力があるが、国際社会及び民主主義国のサポートも台湾海峡の平和と安定の維持に寄与するだろうと強調した。
呉外交部長は、中国が台湾の併呑を画策するのは権威主義の対外的な侵略と拡張の典型的なケースであり、その目標は台湾にとどまらず、東シナ海、南シナ海、南太平洋の島嶼国の全てが中国が勢力を広げようとする範囲に入ると分析。そして、第一列島線に頼るだけでは中国の権威主義政権の拡張を阻むのには足らず、中国の最近の軍事行動やソロモン諸島との安全保障協定締結はその野心を際立たせていると警戒した。呉外交部長は、台湾は権威主義による脅威に向き合う最前線に位置しており、自らの安全保障の責任のほか、ほかの民主主義国と連携して自由民主の共通の価値を守っていく責任も負っていると強調、台湾と民主は必ずや最終的な勝利を手にするだろうと語った。
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